環日本海地域の社会環境データベース
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北東アジア地域自治体連合環境分科委員会の紹介
北東アジア地域自治体連合及び環境分科委員会の概要 環境分科委員会の開催概要 環境分科委員会のプロジェクト
 環境問題は今や地球規模の広がりを見せはじめ、国や地域を越えた広域的(グローバル)な取り組みが必要になってきています。そこで、環日本海地域全体に広がりを持つそのような問題として、温暖化、酸性雨、黄砂の3つの環境問題を取り上げ、その現状をまとめました。
地球温暖化
 人間活動の活発化に伴って大気中に大量の二酸化炭素等の温室効果ガスが排出されるようになると、地表近くの熱エネルギーのバランスが崩れ、地球の温暖化が急速に進行してきています。その結果、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第三次評価報告書(2001年)では、今世紀中に世界の平均気温は1.4〜5.8℃(1990年との比較)上昇し、海水面も9〜88cm(1990年との比較)上昇すると予想しています。
 右の図は世界の二酸化炭素排出状況について示していますが、1998年現在、中国、ロシア、日本の二酸化炭素排出量はそれぞれ世界第2位、3位、4位となっており、韓国を加えた4か国で世界の総二酸化炭素排出量のおよそ27%を排出していることがわかります。なお、下の表には、各国の人口一人あたりの二酸化炭素排出量の推移について示しています。
環日本海地域各国における一人あたりのCO2排出量
単位:CO2換算トン/人
区 分 1971 1980 1985 1990 1995 1997 1998 1999
世 界
3.85 4.14 3.99 4.03 3.88 3.92 3.88 3.85
中 国 1.04 1.52 1.80 2.15 2.57 2.58 2.49 2.44
ロシア
- - - - 10.96 10.37 10.11 10.48
日 本 7.07 7.88 7.51 8.61 9.12 9.31 9.09 9.27
韓 国 1.64 3.30 3.85 5.50 8.06 9.27 7.99 8.65
酸性雨
 酸性雨とは、工場や自動車等より排出された窒素酸化物や硫黄酸化物などが大気中で反応して生じる硝酸や硫酸などを取り込んで生じるpH 5.6以下の雨のことをいい、陸水や土壌の酸性化による生態系への影響、文化財の腐食等への影響が懸念されています。
 最近では、日本や中国、韓国などでもpH 4.5〜5.0という酸性度の高い雨が観測されるようになってきています。この値は、すでに酸性雨による森林や湖沼への被害が深刻化している欧米と比べてもほぼ同レベルの酸性度にあることを示しており、このような雨が今後も降り続いた際には、その影響が懸念されるところです。
黄砂
 春が近づくと、空の色が黄色くなって景色がぼんやりすることがあります。“黄砂”とよばれる現象で、微細な粒子が空気中を漂うことで生じます。この微細な粒子は、中国大陸内陸部にあるタクラマカン砂漠やその東の河西回廊、黄土高原付近の砂漠などに降り積もった微細な砂がその正体とされており、春先に中国北西部で多発する低気圧の上昇気流によって5,000〜10,000mの上空にまで巻き上げられた後、偏西風に乗って数千km離れた地域にまで運ばれています。
 一般的に、こうした大気中の微細粒子は、太陽光を散乱・吸収したり、雲の状態を変えたり、大気中の汚染物質を吸着して広範囲に輸送したりする性質を有することから、気候変動や呼吸系疾患などへの影響が懸念されています。しかしその反面、黄砂には1%程度の炭酸塩が含まれ、また、リンやカルシウム、鉄などの無機養分が付着していることから、酸性雨の中和作用があり、海洋植物プランクトンの栄養源の一つであるともいわれています。ただ、黄砂に関する調査・研究はまだ始まったばかりであまり解明が進んでいないのが現状であり、今後、さらなる成分分析や関連情報の解析評価が望まれています。
 最近では、日本や韓国でも黄砂現象の発生回数は年々増加してきており、また、その強度も増しつつあることから、黄砂による大気の汚染が新たな環境問題になってきています。
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