環日本海地域の社会環境データベース
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北東アジア地域自治体連合環境分科委員会の紹介
北東アジア地域自治体連合及び環境分科委員会の概要 環境分科委員会の開催概要 環境分科委員会のプロジェクト
海洋環境
 工業化や農業開発が進む一方、排水設備については、今も最新の浄化システムをもたず、老朽化したシステムのまま生産活動が続けられていることから、各地で水質の汚染が顕在化してきています。
 さらに、地下資源の開発に伴う鉛、銅、亜鉛、カドミウムなどの鉱物成分や土砂などの河川、海への流入は、単に水底質環境の悪化というだけでなく、生態系に与える影響としても認識されはじめてきています。すでに、ウラジオストク近郊をはじめとする一部の水域では海洋生物への汚染物質の蓄積がいたるところで確認されるようになっており、海洋の汚染は深刻な事態を迎えています。
河川環境
水質
 各河川の水質環境については調査データが少なく、また、分析値の変動も大きいため、簡単にその傾向を読みとることは困難ですが、沿海地方南部のRazdolnaya川やサハリン州中西部のBolshaya Aleksandrovka川などで汚染が進んでいるようです。

注)Amur River、Razdolnaya River、Bolshaya Aleksandrovska Riverの水質調査地点(調査年)は順に、Nikolayevsk na Amure(1996)、Terekhovka(1998)、Korsakovka village(2001) となっている。
下水処理状況
 ロシア極東地域では、下水は十分な処理がなされないまま放流されているのが現状で、ウラジオストク市近郊の海水浴場などでは水質の汚染が問題となっており、浄化能力の向上が急務とされています。
大気環境
 日本海沿岸部では、ウラジオストクなど6都市(注)でモニタリング調査が行われています。各地域とも、大気の汚染は深刻で、ルドナヤプリスタニ、ダリネゴルスク、ウラジオストクなどは、重金属、中でも非鉄金属産業などから放出される鉛による汚染がかなり深刻化しています。
 ロシア極東地域においては、ここ数年、大気中への有害物質の排出は減少傾向にあるとされています。しかしながら、これは、排出処理技術の向上や国家・民間による環境保護への努力が実った結果というより、単なる工業生産の落ち込みにより生じた結果であり、今のシステムのままでは、今後の生産回復によっては事態のさらなる深刻化を招くことが危惧されています。
注)ウラジオストク、ウスリースク、アルチョム、ダリネゴルスク、ルドナヤプリスタニ、ナホトカの6都市でモニタリング調査が実施されており、ウラジオストクには6地点、他の5都市には各1地点ずつ、調査点が配置されています。
環境行政
国の環境行政組織
 ロシアにおける環境保護の行政的枠組みは、省庁間、中央・地方間で組織的にかなり込み入ったものとなっています。
 そうした中、最も中心的な役割を果たしているのが天然資源省で、連邦省庁間の調整や環境政策の発展に責任を有し、自らは連邦自然保護区における野生生物のモニタリングや大気・水・有害廃棄物の排出に関するデータ収集、企業・地方政府による環境保護措置の監督などを行っています。
地方の環境行政組織
 ロシアの行政システムは、連邦−連邦主体−地域(市・地区)の3層構造からなっています。
 地方政府において、重要な環境保護の資金源となっているのが、連邦主体・地域のエコロジー基金です。これは、汚染物質の排出に対して課される環境汚染料を主たる財源とする基金で、汚染料は、大よそ連邦にその10%が、連邦主体に30%が、また地域には60%が配分されます。
 連邦・連邦主体・地域の権限とされている項目は多くの点で重なり合っており、その具体的な権限配分状況は、各個別法令に当たる必要があります。
環境関連法・制度
 環境保全上基本となる法律は2002年に制定された「連邦環境保護法」で、第1章において、ロシアの環境保護に関する8つの基本原則を掲げています。中でも、環境権が認められたこと、安定的発展(sustainable developmentのロシア語訳)の原則が導入され、経済的利害への配慮が明記されたこと、また、自然利用の有償性を原則として掲げたことなどは、ソ連体制下での環境保護法体系との特徴的な違いとなっています。
 なお、ロシアでは、このほかにも、天然資源や特定の課題ごとにより詳細な規定を記した法律や法律に準ずる規則文書などが多数出されています。
 
環境問題に関する主な環境関連法
分 野 主な法令等
基本法 - 連邦環境保護法(2002.1.10)
大気
騒音・振動
- 大気環境防止法(1982.7.14)
- ロシア連邦水法典(1995.11.16)
廃棄物
リサイクル
- 廃棄物処理法
自然資源
- 「地下資源について」(1995.3.3)
- 「特別自然保護区域について」(1995.3.14)
- 「動物界について」(1995.4.24)
その他
- 「国家エコロジー監査について」(1995.11.30)
注)()は法律の制定日または最終改定日
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