環日本海地域の社会環境データベース
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北東アジア地域自治体連合環境分科委員会の紹介
北東アジア地域自治体連合及び環境分科委員会の概要 環境分科委員会の開催概要 環境分科委員会のプロジェクト
海洋環境
水質
 韓国では、適切な沿岸管理のため、全国の沿岸域を10の地域(圏域)に分けて管理しています。1990年以降、各圏域の水質状況(COD)は、おおむね横ばいから緩やかな減少傾向を示しており、韓国の環境基準に照らすと、水質はII等級(2mg/L以下)に相当するレベルで推移しています。
赤潮等
赤潮発生件数と被害額の推移
区 分
発生件数 被害額
(1億ウォン)
1992年 27
194
1993年 38 84
1994年 29 3
1995年 65 765
 韓国で赤潮が初めて公式に記録されたのは、1961年10月に鎮東湾で発生した赤潮とされています。
 1970年代に入ると鎮海湾周辺でも赤潮が発生するようになり、1981年を過ぎた頃からはより広範かつ長期にわたって確認されるようになりました。中でも、1995年の慶尚南道統營沿岸、南海沿岸全域、東海南端の浦項地域で発生した赤潮は規模も大きく、漁業生産に多大なる被害を出しています。
海岸線の状況
 韓国が管理する水域は、その約77%が大陸棚上にあるという比較的浅い海で、沿岸部には国土面積の約3%に相当する干潟が広がっています。しかし、その分布は主に西海岸に集中し、残りは南海岸に分布しています。東海岸に干潟はみられません。
河川環境
水質
 首都ソウルは、1950年代に入って急速な発展を遂げたことから、これまでさまざまな都市環境問題に直面してきました。水質汚濁もその一つで、市内を流れる漢江の水質は徐々に悪化しはじめ、1980年代後半には、BODが水質基準(注)のV等級(10mg/L以下)さえ満足できない状況となっています。その後、1990年に水質環境保全法が制定され、排水基準や各種の規制が強化されるようになると水質は徐々に良化し、III等級の水質レベルにまで改善されてきています。他の河川については、1985年以降、栄山江はII等級、洛東江、錦江はおおむねIII等級の水質を維持しています。

注)水域の利水目的と保護の目的に応じてこれをI類からV類という5つの種類に分類し、それぞれに望ましい水質の基準値が定められています。なお、BODについては、I類からV類まで順に、年平均値として1,3,6,8,10mg/Lという基準値が定められています。
下水処理状況
 1998年現在、韓国の下水処理施設は114か所(計画処理能力 1,662万トン/日)が整備され、普及率は66%となっています。なお、処理方式としては二次処理が主体で、主に活性汚泥法が採用されています。
 地域別には、ソウルや光州、大邱などの都市域での整備が進む一方、地方での整備は大幅に遅れており、全羅南道などは11%にも満たない状況となっています。
地域別下水道整備状況 (1998年)
下水道整備率(%) 下水道整備率(%)
全国平均 65.9%
1 ソウル特別市(98.9)
9
忠清北道(59.3)
2 光州広域市(94.2) 10 慶尚北道(38.8)
3 大邱広域市(90.6) 11 江原道(36.7)
4 大田広域市(90.3) 12 全羅北道(34.8)
5 仁川広域市(85.5) 13 慶尚南道(25.1)
6 京畿道(70.5) 14 忠清南道(22.9)
7 釜山広域市(69.4) 15 蔚山広域市(19.5)
8 済州道(61.8) 16 全羅南道(10.9)
大気環境
窒素酸化物
  NO2濃度はおおむね横ばいから緩やかな増加傾向を示していますが、環境基準値を超えるようなことはありません。
硫黄酸化物
  SO2濃度は、1992年頃までは環境基準値を超える高濃度で推移していました。しかし、1990年に制定された大気環境保全法によって大気環境の監視体制が強化されるようになると、SO2濃度は徐々に基準レベルにまで下がりはじめ、その後、現在までは減少傾向を示しています。
浮遊粒子状物質(PM-10)
 PM-10濃度は、1995年以降、釜山や大田などでは減少傾向を示しているものの、ソウルなどでは近年増加傾向を示しています。
環境行政
国の環境行政組織
 韓国の環境政策において中心的役割を果たしているのが環境部で、その責務は、環境法令の制定・改訂や環境保全のための中長期総合計画の策定、各種規制基準の設定、国家間の環境保全協力などとなっています。
 また、このほか、建設交通部や海洋水産部などでも、河川管理や海洋汚染対策といった環境対策を実施しています。
地方の環境行政組織
 環境行政の業務と機能は中央と地方に分離されており、環境関連法令の制定と規制基準の設定といった環境政策における基本的な枠組みについては環境部が策定し、その執行責任を環境管理庁、自治体で分担しています。
 地方自治体の環境行政機構は自治体により少しずつ異なるものの、広域自治体には環境管理室または環境緑地局、環境局、基礎自治体には環境保護課、環境管理課などが設置され、そこで環境関連業務が行われています。
 なお、地方自治体の環境関連業務の内容としては、(1)管轄区域内における地域環境保全対策の策定・施行、(2)一般廃棄物の収集・処理、(3)汚水・糞尿・畜産排水の処理、(4)騒音、振動及び自動車排出ガス規制といった本来の業務と、環境部長官から委任された、(5)産業団地外地域における汚染排出事業所の管理、(6)環境改善負担金の賦課・徴収といった事務的な内容のものとなっています。
環境関連法・制度
 環境保全上基本となる法律は1990年に制定された「環境政策基本法」で、同法は、国の環境政策の基本理念と方向性、環境に関する基本政策について規定しています。なお、その主な内容としては、汚染源者の費用負担原則、環境保全長期総合計画の策定及びその施行に関する事項、環境汚染被害に対する無過失責任及び事業者の連帯責任に関する規定等となっています。
 また、この法律のもと、大気、水、土壌等の保全に関する個別法が数多く制定されています。
 
環境問題に関する主な環境関連法
分 野 主な法令等
基本法 - 環境政策基本法(1999.12.31)
大気
騒音・振動
- 大気環境保全法(1999.4.15)
- 地下生活空間空気質管理法(1996.12.30)
- 騒音・振動規制法(1999.2.8)
- 水質環境保全法(2000.1.21)
- 汚水・糞尿及び畜産排水の処理に関する法律(1999.2.8)
- 下水道法(1999.2.8)
- 漢江水系上水源水質改善及び住民支援等に関する法律(1999.2.8)
土壌 - 土壌環境保全法(1999.2.8)
廃棄物
リサイクル
- 廃棄物管理法(1999.12.31)
- 資源の節約と再利用促進に関する法律(1999.2.8)
- 廃棄物処理施設の設置促進及び周辺地域への支援などに関する法律(1999.2.8)
- 廃棄物の国家間移動及びその処理に関する法律(1999.2.8)
自然資源
- 自然環境保全法(1999.2.8)
- 独島等島嶼地域の生態系保全に関する特別法(1997.12.13)
- 自然公園法(1999.2.8)
- 湿地保全法(1999.2.8)
- 鳥獣保護及び狩猟に関する法律(1999.3.31)
その他
影響評価
- 環境影響評価法(1992.2.8)
化学物質
- 有害化学物質管理法(1999.2.8)
上水源
- 水道法(1999.2.8)
- 飲料水管理法(2000.1.7)
その他
- 環境技術開発及び支援に関する法律(2000.2.3)
- 環境犯罪の取り締まりに関する特別措置法(1999.12.31)
- 環境紛争調停法(1997.8.28)
- 環境改善特別会計法(1996.12.30)
- 環境改善費用負担法(1999.2.8)
- 環境管理公団法(1993.12.27)
- 韓国資源再生公社法(1993.12.27)
- 首都圏埋め立て地管理公社の設立及び運営等に関する法律(2000.1.21)
- 環境影響評価法(1999.2.8)
注)()は法律の制定日または最終改定日
上記のほかにも、環境部以外の部署が所掌する環境関連法として、これまで15以上の部局で、合計50以上の法律が制定・施行されています。
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