「第2回沿岸環境評価国際ワークショップ」の開催
(財)環日本海環境協力センター(NPEC)は、環境省所管の財団として平成10年に設立され、日本海及び黄海の海洋環境保全に寄与するため、各種活動を進めています。平成11年には、国連環境計画(UNEP)が提唱し、日本、中国、韓国及びロシアの4カ国で推進している北西太平洋地域海行動計画(NOWPAP)の活動拠点の一つである「特殊モニタリング・沿岸環境評価地域活動センター(CEARAC)」に指定され、有害藻類の発生(HAB)への対応とリモートセンシング等を活用した沿岸環境評価手法の開発に取り組んでいます。 平成19年度から20年度にかけては、NOWPAP 4カ国共通の沿岸環境評価手法の開発に向けて、富山湾をケーススタディ海域とした沿岸環境評価手法の検討を行ってきましたが、このたびその手法が開発されたこと、さらにNPEC設立10周年の節目にあたることから、沿岸環境評価のための手法を広く紹介することを目的として、第2回沿岸環境評価国際ワークショップを開催しました。 |
1. | 概要 | |
日 時 | 平成20 年9 月11 日(木)9:00〜18:00 | |
会 場 | タワー111 3 階スカイホール | |
住 所 | 富山市牛島新町5-5 TEL 076- 432-1414 | |
参加者 | 日本、中国、韓国、ロシアの沿岸環境評価に係る専門家、海外関係機関からの参加者、一般参加者あわせて約90名 |
2. | 主な結果 |
(1) | 基調講演 | |
・ | ユーリッヒ・クラウセン氏(ドイツ環境省)から、ヨーロッパにおいて多国間で沿岸環境評価を実施しているオスロ・パリ委員会(OSPAR)やバルト海洋環境保護委員会(HELCOM)における取り組み等、近年の動向が紹介されました。 | |
・ | 松田 治氏(広島大学名誉教授)から、人為活動の有無など様々な海の利用形態や環境の違いが混在するNOWPAP海域において、富栄養化をどのような基準で判定すべきか検討するにあたり、日本の閉鎖性海域における流入規制に関する取り組みなどが紹介されました。 | |
・ | 鈴木 亨氏(海洋情報研究センター)から、国際機関におけるデータベースの構築に携わっている豊富な経験をもとに、NOWPAP各国及び他の国際機関との理想的なデータ共有のあり方が提示されました。 |
(2) | セッション |
セッション1 NOWPAP の連携機関である西太平洋海域共同調査(IOC/WESTPAC)及び黄海大規模生態系研究計画(YSLME)から、各機関における沿岸環境保全の取り組みについて発表されました。 |
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セッション2 CEARAC が進めている日・中・韓・ロにおけるHAB の観測体制や観測項目、HAB 発生の状況などHAB に関する情報をNOWPAP 各国及び他の国際機関と共有するためのHAB ケーススタディの中間報告が、NOWPAP 各国の専門家によりされました。 |
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セッション3 NPEC が開発した富栄養化状況評価手順書のNOWPAP 地域における適用に向けて、NOWPAP 各国の専門家により、評価項目や手法など、富栄養化状況評価手順書原案のレビューが行われているところですが、そのレビュー状況について発表されました。また、日本からは、富山湾をモデル海域として実施した富栄養化評価のケーススタディ結果が紹介されました。 |
(3) | 総合討論 | |
総合討論では、NOWPAP 地域における富栄養化状況評価手順書の適用に向けて、他地域における動向を踏まえたNOWPAP での富栄養化状況評価のあり方、評価基準の設定のあり方及び評価データの共有のあり方についての議論が行われ、議論の結果、以下の課題が参加者において共有されました。 | ||
○多国間における共通手順書の適用と評価の実施について ・ 富栄養化の定義について ・ 地域における共通化 ・ 富栄養化評価手法の簡素化 |
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○利用形態の異なる海域での富栄養化の基準のあり方について ・ 海域の状況に合わせた評価基準の設定 ・ 評価値・評価手法に対する各国の合意 ・ 段階的評価の実施 |
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○情報・データを共有するためのデータベースのあり方について ・ データ共有のためのデータベース化 |

