公益財団法人 環日本海環境協力センター NPECは、日本海及び黄海における海洋環境保全に寄与することを目的に活動しています。

公益財団法人 環日本海環境協力センター[NPEC]

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NOWPAP北西太平洋地域海行動計画の推進

NOWPAP 北西太平洋地域海行動計画

NOWPAP: Northwest Pacific Action Plan

 「北西太平洋地域における海洋及び沿岸環境の保全・管理・開発のための行動計画(NOWPAP)」は、国連環境計画(UNEP)が提唱する地域海行動計画の1つであり、北西太平洋の環境保全を目的として、1994年に日本、中国、韓国、ロシアの4か国により発足されました。

 NOWPAPの活動を推進するために、各国に一つずつ地域活動センター(RAC)が設置され、個別の事業を担当しています。またNOWPAPの本部機能を持つ地域調整部(RCU)が富山市と韓国・釜山市に設置されています。

NOWPAPの推進体制
NOWPAPの推進体制

1.全体目標

 地域内住民が長期にわたって恩恵を享受し、将来の世代のために人類の健康、生態系、地域の存続性を守れるよう沿岸・海洋環境を有効に利用・開発・管理する。

2.参加国

 日本、中国、韓国及びロシアの4か国

3.地理的範囲

 概ね東経121度から143度、北緯52度から33度の範囲の日本、中国、韓国、ロシア、[北朝鮮]の海域(日本海と黄海)及びその沿岸域

4.信託基金の規模

 行動計画に基づくプロジェクトを実施するための資金として、NOWPAP信託基金を設けて、各国政府が応分の拠出をすることになっています。目標年間拠出総額は合計で50万米ドルですが、2015年の拠出総額は47.5万米ドルとなっています。

5.NOWPAP中期戦略

  NOWPAP発足の当初とは、本地域の海洋環境問題は若干異なってきています。現在、世界中で地球温暖化の問題や生物多様性の問題が大きく取り上げられてきており、環日本海地域でも、これらの問題は大きな脅威として取り上げられています。こういった状況の中、NOWPAPにおいて取り組むべき課題を明確にするために、2011年にNOWPAP中期戦略(2012-2017)が各国により合意されました。 本中期戦略では、以下の9つが、現在NOWPAPで取り組むべき課題として挙げられ、各地域活動センターは本戦略に基づいて活動を実施しています。

  • 統合沿岸・流域管理
  • 海洋環境状況の定期的評価
  • 海洋汚染(有害・危険物質と海洋ごみ)の防止・抑制
  • 生物多様性の保全(外来生物を含む)
  • 気候変動の影響
  • 情報管理
  • 普及啓発
  • 地域連携
  • 経営・財務・運営支援

6.地域調整ユニット(RCU:Regional Coordinating Unit)の設立

  2000年12月に開催された第6回政府間会合において、NOWPAPの活動の総合調整を図るための事務局機能を担う地域調整ユニット(RCU)の事務所を日本と韓国の2か所に設置することが合意されました。これを受け、現在、日本には富山に、韓国にはプサンに地域調整ユニットが設置され、各国及び各地域活動センターとの調整を行っています。

7.地域活動センター(RAC:Regional Activity Center)の設置

 1999年4月の第4回政府間会合において、各プロジェクトの実施に当たって、分野毎にその活動の企画・調整の中核的な役割を担う地域活動センター(RAC)が、各国に1機関ずつ指定されました(NOWPAP推進体制図を参照)。

  中国(北京)にはNOWPAP地域の各種海洋環境データを収集、データベース化し、広く発信していくためのデータ・情報ネットワーク地域活動センター(DINRAC)、韓国(デジョン)には、油や化学物質の流出事故時の緊急対応を行うための海洋環境緊急準備対応地域活動センター(MERRAC)、ロシア(ウラジオストック)には、河川や大気からの汚染物質のモニタリングを行うための汚染モニタリング地域活動センター(POMRAC)が設置されています。

 日本では、NPECが、特殊モニタリング・沿岸環境評価地域活動センター(CEARAC)に指定され、その活動を実施しています。CEARACの担当活動分野は、次のとおりです。

  1. 水質測定など通常のモニタリングでは対応できない特殊なモニタリング手法を活用した環境評価方法の開発。人工衛星を活用したリモートセンシングによる広域モニタリングを実施しています。
  2. 沿岸域の環境を総合的に評価し、問題を解決するための活動を推進。漁業被害や海洋環境の悪化の原因となる赤潮を含む有害藻類の異常繁殖を指標に取り組んでいます。
  3. リモートセンシングによるモニタリングを活用して、沿岸環境評価を行うことを目的に、海の水質悪化の指標である富栄養化の問題にも取り組んでいます。4か国で共通して利用する評価手順書を開発し、各国の沿岸海域の富栄養化状況の評価を進めています。
  4. 海洋生物多様性の問題にも新たに着手しています。本海域の海洋保護区の設置を促進するための各国における海洋保護区制度に関する情報の収集・共通を行っているほか、生物多様性にとって脅威となる各種環境問題の影響の評価を試みています。

8.フォーカルポイント会議(Focal Points Meeting:FPM)の設置

 2002年3月の第7回政府間会合において、各RACの活動を評価し、今後の活動に対して助言を行う「フォーカルポイント会議」を各RACに設置することになりました。

 毎年1回、各国の代表であるフォーカルポイントが出席する会議が開催されています。

〜NOWPAP海洋ごみ活動に対する貢献〜

 NPECで作成してきた報告書や普及啓発資材は、NOWPAPにおける海洋ごみ対策促進のために利用されています。

海洋ごみパンフレット/リサイクル事例集

海洋ごみパンフレット/リサイクル事例集
モニタリングガイドライン
モニタリングガイドライン

 NOWPAP4か国(日本・中国・韓国・ロシア)はNPECの海洋ごみモニタリング調査の経験をもとに作成された「海辺の海洋ごみモニタリングガイドライン」を利用して、北西太平洋沿岸で海洋ごみ調査を実施しています。NPECもこの調査に参加し、4か国の海洋ごみの実態把握に貢献しています。