環日本海地域の社会環境データベース
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北東アジア地域自治体連合環境分科委員会の紹介
北東アジア地域自治体連合及び環境分科委員会の概要 環境分科委員会の開催概要 環境分科委員会のプロジェクト
海洋環境
水質
沿岸水質の状況(2000年)
海域
地点数 構成比(%)
一類 二類 三類 四類 超四類
渤海 70
8.5 50.0 12.9 15.7
12.9
黄海 141 22.7 47.5 13.5 4.3 12.0
東海 120 0 20.0 14.2 19.1 46.7
南海 46 36.9 19.6 17.4 2.2 23.9
377 14.6 35.7 14.1 10.9 24.7
注)水域の利水・保護の目的に応じて、これを一類から四類という4つの種類に分類し、それぞれに望ましい水質の基準値を定めています。なお、CODについては、一類から四類まで順に、2,3,4,5mg/Lという基準値が定められています。
 中国沿岸部は大きく渤海、黄海、東海、南海の4海域に分けることができ、これらは四大海域と呼ばれています。
 2000年における水質の現状についてみると、一類の水質基準を達成したのが全体の14.6%、二類35.7%、三類14.1%、四類10.9%となっており、全体の24.7%は四類基準を超える水質(超四類)となっています。
 海域別には東海沿岸部の汚染が最も進んでおり、上海市や浙江省などの沿岸部における汚染が深刻化しています。
赤潮等
海域別赤潮発生状況
(2000年)
海域
発生件数 累計面積(km2
渤海 7
2,000
黄海 4 800
東海 11 7,800
南海 6 50
28 10,650
 2000年には28件の赤潮が記録されており、その延べ面積は1万km2を超える規模となっています。環日本海地域では、遼東湾や渤海、黄海北部の沿岸などで赤潮が多発しています。
河川環境
水質
 中国の河川流域は大きく長江、黄河、珠江、松花江、淮河、海河、遼河という7つの水系(注1)に分けることができ、これらは七大水系と呼ばれています。
 2000年における水質の現状についてみると、全観測地点の6割弱の水域ではII類の水質基準(注2)を達成しているものの、21.6%はIV類、6.9%はV類の水質となっており、13.8%はV類基準を超える水質(劣V類)となっています。
 流域別には遼河、海河、淮河、黄河、松花江、珠江、長江の順に汚染が進んでおり、各流域ともに都市部に汚染区間が集中しているようです。

注1)中国の表層水資源の77%がこれら7水系に依存しており、中国全人口の90%がこれら7流域で社会経済活動を営んでいます。
注2)水域の利水・保護の目的に応じて、これをI類からV類という5つの種類に分類し、それぞれに望ましい水質の基準値を定めています。なお、BODについては、I類からV類まで順に、年平均値として3,3,4,6,10mg/Lという基準値が定められています。
中国七大水系の水質状況
(2000年)
流 域
BOD年平均値(mg/L)
長 江 0.55〜2.59
黄 河 1.17〜3.8
珠 江 0.3〜31.75
松花江 1.86〜4.31
淮 河 1.43〜4.43
海 河 1.0〜89.59
遼 河 1.61〜32.23
下水処理状況
 1999年現在、中国都市部の下水道整備状況は、下水道延長にして約13万km、処理能力は日量約2,700万m3となっています。しかし、急速な人口増加や都市化に伴って、汚水の発生量も著しく増加してきており、処理率は未だ25.8%となっています(環日本海地域では18.1〜35.0%)
大気環境
 中国ではSO2と浮遊粒子状物質が大気汚染の主たる要因となっており、一部の都市では、これに自動車排ガスが加わった複合型の汚染となっています。これは、中国がエネルギーの約75%を石炭に頼っていることが最大の要因とされ、その高い硫黄含有量が影響しているとされています。
 2000年に実施したモニタリング結果によれば、観測を行った全338都市のうち、4割弱の都市は二級の大気質基準(注)を達成しているものの、残りの6割は二級基準を超える状況となっており、全体の3分の1にあたる都市で三級基準を超える状況となっています。
注)SO2やNO2、PM-10(大気中に浮遊する粒子状物質のうち、粒径が10μm以下のもの)等について一級から三級の基準値が設定されています。なお、SO2については、一級から三級まで順に、年平均値として0.02,0.06,0.10mg/m3という基準値が定められています。
中国主要都市における大気質の状況(2000年)
区分 年平均値(mg/m3
NOx SO2 総浮遊粒子状物質
黒竜江省 ハルビン (0.022)
0.029 0.242
大  慶 0.026 0.008 0.118
吉林省 吉  林 (0.063) 0.067 0.557
長  春 (0.028) 0.012 0.265
遼寧省 大  連
0.035 0.017 0.088
鞍  山 0.064 0.076 0.418
河北省 石 家 庄 0.090(0.057) 0.169 0.431
唐  山 0.084 0.352
山西省 太  原 0.093 0.200 0.401
大  同 0.041 0.172 0.721
山東省 済  南 0.059
0.173
青  島 0.034(0.025) 0.055 0.143
安徽省 合  肥
(0.046) 0.013 0.170
江蘇省 南  京
0.048(0.037) 0.029 0.107
徐  州 0.044 0.026 0.323
河南省 鄭  州 0.039 0.291
洛  陽 0.064 0.354
北京市 北  京 0.126(0.071) 0.071 0.353
天津市 天  津 0.053(0.045) 0.056 0.304
上海市 上  海 0.091(0.061) 0.046 0.156
注)NOx欄の()はNO2濃度を示します。
環境行政
国の環境行政組織
 中国の環境政策において中心的な役割を果たしているのが国家環境保護総局で、その責務は、環境保全政策の策定や汚染防止法規の立案、自然環境の保全・管理、原子力の安全管理等となっています。
 このほかの環境関連機関としては水利省や農業省などがあり、それらは水資源の管理、海洋動植物の保護等の対策を実施しています。
地方の環境行政組織
 中国の行政組織は、中央から省(自治区、直轄市)→市→区・県→郷・鎮という階層で構成され、上級組織は下級組織に対し指導する権限をもっています。しかし、人事と予算面では、上級機関が下級機関を干渉することができず、必ずしも上意下達とはなっていません。
 地方の環境行政においては、各地方政府が所轄地域の環境行政全般に関する責任を持ち、地方の環境保護局が、所轄地域における環境行政活動の総括管理・監督を行っています。
 1999年現在、全国には県級以上の環境保全主管部門が2,500以上あり、各級のモニタリングステーションは2,111か所、環境保全部門の従業員は11万8,000人(うち、モニタリング要員は3万6,000人)に上ります。
環境関連法・制度
 環境保全上基本となる法律は1989年に制定された「環境保護法」で、第1条において、生活環境及び生態環境の保護・改善、汚染及びその他の公害の防止・抑制によって人の健康を保障し、社会主義の近代化建設の発展を推進することを目的として掲げています。
 そして、この法律のもと、大気、水、土壌等の保全に関する個別法が数多く制定されています。
■「三同時」制度
 工場の新築、改装および増築などの工事を行う際には、その計画、建設、操業の三段階において、予期される公害に対する環境保護施設についても同時に計画、建設、操業しなければならないとする制度で、中国特有の制度です。
■汚染物質排出費(排汚費)徴収制度
「汚染者負担」という環境政策を具体化した制度で、国や地方の排出基準を超える汚水や排ガス、固形廃棄物などに対しては、その汚染源者から排汚費を徴収する仕組みとなっています。
環境問題に関する主な環境関連法
分 野 主な法令等
基本法 - 環境保護法(1989.12.26公布)
大気
騒音・振動
- 大気汚染防止法(1987.9.5公布)
- 環境騒音防止法(1989.9.26公布)
大気汚染、騒音・振動の防止に関する規制・基準(例)
- 大気環境基準
- 大気汚染物質の総合排出基準
- 自動車大気汚染物質排出基準
- 都市区域環境騒音基準
- 都市区域環境振動基準
- 水質汚濁防止法(1984.5.11公布)
- 海洋環境保護法(1982.8.23公布)
水質汚濁の防止に関する規制・基準(例)
- 地表水環境基準
- 海水水質基準
- 汚水総合排出基準
- 生活飲用水衛生基準
- 農田潅漑水質基準
土壌 - 水土保持法(1991.6.29制定)
土壌環境の保護に関する規制・基準(例)
- 土壌環境基準
- 農薬管理条例
- 農業用汚泥中汚染物規制基準
廃棄物
リサイクル
- 固体廃棄物環境汚染防止法(1995.10.30公布)
廃棄物規制に関する規制・基準(例)
- 海洋投棄管理条例
- 生活ごみ焼却汚染の規制基準
- 生活ごみ埋め立て汚染の規制基準
- 都市ごみの農用規制基準
- PCBを含む廃棄物汚染の規制基準
自然資源
- 森林法(1984.9.20制定)
- 草原法(1985.6.18制定)
- 漁業法(1986.1.20制定)
- 鉱物資源法(1986.3.19制定)
- 土地管理法(1986.6.25制定)
- 水法(1988.1.21制定)
- 野生動物保護法(1988.11.8制定)
- 水土保持法(1991.6.29制定)
- 石炭法(1996.8.29制定)
自然資源の保護に関する規制・基準(例)
- 水産資源保護条例
- 自然保護区条例
- 野生植物保護条例
- 農薬管理条例
- 土地回復規定
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